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そんなに、ころころと表情が変わるオンナってのは忙しいのに輪を掛けて忙しいオンナだ。
「そうなんだな。オモテに出さないってどう攻撃できるんだよ」
「内面に、こうブワッとブスーッとえぐる感じかなぁ」
「へえ。それって、キズを付けずに、傷跡だけがつくんだ。だったら、俺と話してるのは、いいのかよ?」
あの白熱の別れから、そんなことなど覚えていない。という様子で、僕はここ数日、毎日のように、彼女に絡まれることになってしまった。
「有名な中身を持つ“地味くん”なら、気にすることもない。なんちってぇ。でも、コンペディションってので、進路決まってるというのは知ったからな。ねぇねぇ、ということは、地味な私の有名人ってことにならないかな?」
(ああコンペディションのことなんて、……どこで聞きつけたんだよ?)
「一応、今までのストックでなんとか」
「じゃあ、やっぱり、地味な私の有名人なんだ。そういうのは、原石っていうのかな?」
(原石だったら、今、光ってるだろうよ。くすんでるから、原石だった、石ころか……?)
「そんなんオンナに使うんじゃね。原石のようとかって、地味な子が変身するってヤツだよ。……嫌なことを言うのなぁ、一応、有名で止めればいいのだろ。それに、地味と付けて言うとさ、もしかして俺が傷付くかもしんねえ、とか考えねえのかねぇ。俺は傷付いていいのかよ?」
「ううん、傷なんか付かないでしょ。この程度は平気、動かない岩みたいなのと一緒かなぁ。まぁそんな気がするだけだけどねぇ」
「だけね、今はそうかもな」
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