秘密くんとアオハる?

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「秘密だろ。言えるかよ、恥ずいしなあッ、言えるかよんな“20センチの秘密”なんて顔から火が出るわ! でも、そのアオハちゃん、もしかしたら高史朗に本気かもよーッ? ぷふふっ」 「もういいいいって、チャカしてんなよなあ! 落ち着け、木坂。もう、わかったよ、だから、ほらもう教室戻ろうぜ。今から、午後の部開始だろうに。おまえは、基本授業も落としかねんわ!」 ぷふふっと、なにかをふくむような笑い方をする木坂に、僕はなにも言えずただ黙るしかないと思っていた。 「だけどさ、俺はスポーツ特待なんだよ。だから、授業なんて落とす寸前のが、このクラスにいるんだよなぁ。高史朗も、似た口かと思ってたけど、勉強はできるっていう違いが切ないよなあ」 「ああ、国立芸大の偏差値なんて、やぺぇからな、日本の旧帝国系と変わらない。てか、変わらんしな。だから、うちのクラスも頑張ってる美術部いんだろうに。おまえが直ぐにチャカす奴、身に覚えあるか?」 「それは、あの倉掛(くらかけ)女史(じょし)だなー。実際、あいつタッパありすぎて運動部かと思った。そんな感じにデカイだろう?」 そんなふくみ笑いで戻る木坂。 「それでも、オトコオンナいうのは、なしだろう」 僕は少しばかかり、ひやひやしつつ教室に戻った。 だけれども、木坂はしっかりと約束を守ってくれているようで、教室の前を通りすぎる如月蒼葉の声にも反応をすることもなく、僕は思っているよりも、律儀な木坂という青春オトコに、ほっとしていた。
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