17人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
休憩時間に、スマホがカバンで振動するのがわかる。カチャッと開いてなかを手探ぐりで、振動するものをガサゴソと掴む。
メッセージは突っ込みたくなるメールで、『今日は夕方、私の家まえに集合』と、如月蒼葉のアバウトなものだった。
(夕方って、時間もわからんぞッ! えっと……メール文って、どういうのがいいんだ?)
ガヤガヤっとうるさい教室で、蒼葉はスマホを片手に、ニヤついていた。
(なんって返すんだろうなぁー? お、既読がついた)
「ねぇ、蒼葉さー、今日遊び行くー?」
かったるそうに毛先を切るパチンッという音が反響して聴こえる。
「ああ、ごめんねぇ。それが、ちょっと親がねぇッ! 今度、声かけてー」
へらへらっと笑う蒼葉。
「せっかく、ほかの男子校のオトコと合コンなのに、残念だよねー」
「そッそうなんだね、みんな今日は他校の、がッ、頑張ってきて!」
“高校生の如月蒼葉”の、へらへらとした笑いで付き合うオンナ友達。
(どちらかというと、持ちつ持たれつか、睨まれるのこわいしな……)
「アッ、きたーッ!」
パチっと大きな瞳で、モニターに食い入るように近くで見る。
「どうしたの?」
「ああ、ごっめんね、思わず大きな声出ちゃったよ。ガチャ引いたら、レアきただけだから!」
「ふぅん、好きだねぇー」
「でしょう(そんなわけない!)」
(えっと、なんだっけ……?)
最初のコメントを投稿しよう!