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パタンと締め出されたような、なんとも言えないバカ兄で、ごめんねと言いたい。
「ほんっとに、手のひら返しやがってーッ!」
(反抗期がぶり返したってのかーッつうんだよッ!)
少しはやめに家から出た分。この四月の半ばあたりの空は、陽が落ちるには、まだ少しだけ時間がある。
見上げると、少し黄色みがかかった乙女色が雲にのる。風が強くなる前に、サクラを見たくなるような夕方の空だった。
「サクラのねぇ」
さくら色の出会いとでも言うるような、あまいあまい出会いでものではない。だけど、気分は少しだけ上向きと言ったところだろう。
僕はまだ、約束まで時間があると思い、はやめに出たのもあり、間に合うなら歩きで行こうと自転車をまた、家の玄関前に置いた。
普段から、筋トレもなにもしない僕のなまった身体に、容赦なく襲うはやめの筋肉痛がある。
(そりゃあ、軽いとはいってもサドルに蒼葉を乗せたまま、学校までの坂道を押したんだしなぁ)
それは、普段から訛った足腰と、腕で転けないように支えるのには、僕は思ったよりも筋肉にくるもので、その日の夕方には身体が悲鳴をあげていた。
そろそろ蒼葉のマンションか。
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