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(ホンモノの妹よりも、この蒼葉の方が可愛い妹に見えるので、お兄ちゃんっていうのはやめてほしい!)
「なに、ただ出かけるけど、あんまり遅くはならないって言っただけでなにもしてない(のが問題)」
「そうなんだね、思春期とかかな?」
「いやぁ、もうそれはとっくに終わって、今はピカピカの高校一年生だよ。なに、蒼葉はキョウダイとかいるのか?」
蒼葉はふるふると首を横にふると、洗いたてのシャンプーの甘い香りがふわっと香る。
「ひとりっ子だよ」
(だろうな、試しに聞いたけどそうですよねーッ!)
「じゃあ、そのいけない秘密お兄ちゃんは、なんで放り出されたるのよ?」
「それは、あの妹に彼氏がきててですね。ううんと、うちはぶっちゃけると、鍵っ子というもんで、親が遅い。から、それまで、お兄ちゃんがデートで遅くなってくれればいいななんていう。なにを考えてるのやら、まぁ隣りの部屋だから、聞かれたくないことあるんだろうなー、と。どう思う?」
そろそろ陽が翳りだし長春色した、少し灰色がかったような空を見て、高史郎は、妹とのやり取りを、思い返して話していた。
ボーッとする高史郎と、シーンとなる蒼葉。高史郎は、黙ったままで立つ蒼葉を見た。
「どう思うって、聞いてたの、か……?」
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