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「それはな、恥ずかしいことでもなく。せっかくなら、本当に好きな奴に取っとけよ。自分を大事にして欲しいと思うけどな」
それは高史朗の本心でもある。
蒼葉はというと、少し恥ずかしい顔で笑ってこくこくと頷くと「ありがとう!」と、ちょっとだけ可愛いと、高史朗は思ったりした。
「触られるの嫌なのに、付き合うって変だなぁ」
「それは、ほら芸術スランプの抜けかたと一緒。私のスランプの抜け方っていうやつなの! それよりさ、その妹さんってのは、名前はなんて言うの?」
(私のスランプって、自分スランプが、彼氏作りとなんの関係あんだよッ……)
だけど、今蒼葉の言ったこと、それは強ち間違いではないのでは、“衝撃的な出会い”と、“できごと”があったというのと、同じことが言えるってことかと高史朗と思った。
「それは、んっとな。小雪ちゃんって言うな。でも、小さくないかもな。多分、俺の肩うえに頭くる感じなんだけど、どうして?」
「いや、ちょっと。秘密くんって、妹さんを、小雪ちゃんって呼ぶのって思ったから、可愛いね秘密くんって?」
「いやいや、俺? 今のおまえの方が、俺なんか比べもんにならねぇよ」
「比べるとは、なにが?」
「蒼葉のが万倍可愛いっていたんだよ」
(勢いあまって、はっきりと言ってしまった……、けどこのあとどうすんのよッ?)
「あの、ありがとうごじゃいまッ」
「噛んだ?」
「噛みました」
ひーんとなる蒼葉に慌てる高史朗が、エントランスに入る住人から怪しい目を向けられる。
(俺は、このまま捕まってしまうのかーッ? これは、はたから見るとどうだよぉ……ッ!)
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