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大泣きしては、叫んで本カバンとスクールカバンの二刀流の攻撃をする。目を開けてくださいとしかいえない。けど、言えない。泣きじゃくり怒っているのか呆気に取られた僕を余所目にして、好き放題に振り回した日。
それが、彼女、如月蒼葉との衝撃的な出会いだった。
「……」
僕は目の前の慌ただしいオンナ、如月蒼葉。アオハルちゃんを見て思う。
「うわぁ、めんどくせぇのきたってッ!」と。
まぁこんなタイプじゃあね。
(妹がいる俺としては、まあ無理だな、聞く耳を持つためしなんてあったものっじゃない)
戦ったところで、勝敗なんぞは目に見えていると、思う状況に置かれるということで、選択肢はひとつ、“黙る”をセレクトしてボタンを押していたわけです。
このセレクトが悪かったのですか、教えてくれと言っても、アオハルちゃんは言わないであろう。
あとで考えてみれば、たしかに、このタイプに沈黙が悪かったのだろうか。
「ねぇ、君さぁ文化部とかならさぁ、いちお、う、ちゃんと……器用でしょうッ?」
「えッと? まぁたぶんですけども、器用とは、それなりにはですが。それがなにか?」
座り込んで、カバンのなかをガサゴソさせた目の前、発見してしまったハサミをビシッと僕に見せて彼女は言った。
「それなら、もう今すぐにッ私の髪を少しだけでいいから、もうッ、お願いだから、はやく切ってよねッ!」
「刺されるかと思いましたよ」
「そんなわけないでしょ!」
(オンナの髪に、ハサミなんて入れたことねぇーッ!)
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