ある男女の話

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「ほらもう行かなきゃ!」 女が男を揺する 「んえ、もう?」 「そうよ」 「早いなあ…」 ぼんやりとした様子の男に女がむくれる 「自分で言ったんじゃない」 「まあね、忘れ物は無い?」 「無くはないけどもう要らない」 「ひどいなあ」 「仕方ないじゃない」 ケロッとした様子の女に男が笑う 「そういう貴方こそ忘れ物無いの?」 「僕も無くはないけど、もう要らないや」 「ひどい」 「仕方ないじゃないか」 男もまたケロッとした様に返す 「ふふふ」 「ははは」 顔を見合わせて笑う二人 「じゃ、行きましょう」 「ああ、行こう」 午前三時、手を取り合った男女が闇に溶けていった
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