午前3時は屋上で

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 住まいはここから徒歩で1時間くらいの場所、元教師で3年前に退職、子供はなく奥さんがつい最近亡くなっている。大雑把だが、彼のことをここまで引き出すことができた。 「もうこんな時間だ。君は早く帰らないと。」  昨日と同じように彼がそう切り出すと、僕は家に帰った。今日は彼のプライベートを聞いてみたが、絵にかいたような真面目人間で優しい性格。困っている人を放っとけないタイプなんだろう。床について眠りに落ちる前に決意する。もう一度明日行ってみよう。次の日、午前0時ごろに仮眠をとり、3時になると再び屋上へ向かった。 やはり来ている。同じ服で同じパンを食べて。 「どうしたんだい。こんな時間に。」  最初の言葉もまったくいっしょだ。おそらく昨日のことも記憶にないのだろう。なにひとつ変わらない光景が再び繰り返される。ならば僕も何度も聞いてもらおう。今悩んでること、苦しいこと。それに対する答えを彼はきっと教えてくれる。 「今就活で悩んでて、気分転換にここへ来たんですよ。」  初めて会うように僕も話しかける。今悩んでることや将来の不安を彼に聞いてもらった。 「失敗っていうのは何度も経験してもいいと思うんだ。例えば、ある失敗をしてその方法が駄目だと分かった時、次からは違う手段を使えばいい。そうすれば、失敗する度に君は洗練された考えを持つようになると思うよ。時には自分がこんなに準備したものが駄目になるかもしれない。でもあきらめず立ち上がり続ければ絶対にうまくいく。失敗っていうのは成功のための過程なんだ。」
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