28人が本棚に入れています
本棚に追加
紫の唇から高く、重く、静かな音が流れ、4を唱えた。バイゼルハイムはそれでも微動にせず、女性が構えるライフル銃の先端を眺めていた。そして銃口から1発、2発、3発と弾丸打ち出され、それらを己の身体に受け入れた。
しかし、弾丸によって空けられたバイゼルハイムの身体の穴は、白の右手が動くたびに、元の形を取り戻したのである。サトリーヌは負けじと穴を作ろうとするが、それに必要な弾丸が切れてしまった。そのため、ライフル銃を捨て去り、バイゼルハイムの黒の瞳に目を合わせる。
「残念だわ。貴方の身体が飛び散る様は、とても愉快ですのに。また、仕入れないとねぇ」
その言葉を最後にサトリーヌは、地上へと続く階段に堂々と向かい始めた。それは完全に無防備な背を、バイゼルハイムに晒すことになる。
報復は必要であろうか?
1 もう十分だろう?
2 人間なんて止めちまえ
3 魔物としての生を噛みしめろ
4 それが力を持つ者の定めというものだ
最初のコメントを投稿しよう!