バイゼルハイム (一作目)

レベル－2

　コウモリ男は4を放ったかと思えば、己の丈の数倍はある翼を広げ、岩盤の天井から土壌の地面に降り立った。そして、幾ばくかの間、地面に視線を投げ続けた。

　それを終えたコウモリ男は己の翼をしまいこみ、この部屋にある4つの出口の内の一つへと進み始めた。そして、そう時は立たずに、彼の姿を捉えることはできなくなった。

「グレーデル。いつも済まないな」

　バイゼルハイムは粉砕されずに残った椅子に腰掛ける。その中で、地面に投げ出された蝋燭の光だけが、未だバイゼルハイムの足元を照らし続けていた。