28人が本棚に入れています
本棚に追加
九州の門を司る地に、迫るグリーンの何かしら。それは日本本土への上陸を図ろうとする動きである。グリーンがそのような行動を起こすのは、この辺りの古き建造物達を食らいつくしたためであろうか? それともこの国の中枢がどこにあるかを察し、いよいよ日本という国を破滅に追い込むことに邁進するためであろうか?
いずれにしても、200メートル級の背丈を持つグリーンが本土に上陸してしまえば、多大な被害は避けられない。ここは最終防衛線とも言える場所なのだ。
「あぁ。何やってんだ。あの戦闘機のパイロットは。折角の毒をまき散らす前に、奴に埋め込むとは」
渋く、暗い声が放たれる。その声の主、警察官ガスティーニは複数の傷をその身に刻み付けているが、軽快な動きで瓦礫の中を進む。それに追従する赤髪のベンスも依然として健在だ。だが、彼らのガスマスクから覗く目元には一つ足りとも余裕はない。期待の新兵器がまるで効果を示していないからだ。
「先輩。あれ。サトリーヌじゃないですか?」
本土と九州を繋ぐ掛橋のトンネルの前に堂々としたホワイトのワンピースが見える。そのような出で立ちで、この戦場に立つ者など、サトリーヌをおいて他にはいないだろう。
彼女の手には槍と軽機関銃がそれぞれ右手と左手に握られている。だが、そのような装備でグリーンの相手が可能であるならば、これほどの事態にはなっていない。
「どうしましょう? 止めるべきでしょか?」
赤髪のベンスはサトリーヌの身を案じるが、ガスティーニはまるで気に掛けない。どころか、警官隊を招集し、突撃の構えをみせる。
「いいか。あの女もろともでいい。この手榴弾を奴と女の間に投げつけろ。投擲開始は俺が合図する」
そのようなガスティーニの声が響き渡ったころ、グリーンとサトリーヌの戦いが開始された。
軽機関銃から放たれる弾丸は、これまでと違いグリーンの何かしらの身体を僅かに削り取る。それに脅威を感じたのか、グリーンはホワイトのワンピースに己の右足を叩きつける。
しかして、サトリーヌは地面に差し込んだ槍を曲げ、それが回帰する反動を利用して飛ぶことで、グリーンの何かしらの巨大な足を避ける。残った槍がグリーンの足裏に突き刺さり、なんと、巨大な足の足首から先を消し飛ばしたのである。そのことでグリーンは体勢を維持することに手を焼くことになった。
速やかにサトリーヌは槍の元へと帰還し、軽機関銃でグリーンの負傷した足を徹底的に攻撃する。それは功を奏し、グリーンは後方へと倒れ込む。
「放てーーー!」
かけ声と共に手榴弾の雨が降り注ぐ。そのことで、グリーンの何かしらの負傷した足の周りには、炎の花が咲き乱れる結果となった。だが、その炎の花がグリーンの身体を吹き飛ばすことはない。全ての熱と衝撃がグリーンの何かしらに吸収されるからだ。
にも関わらず、手榴弾の雨は止まない。そして咲き乱れる花も同様であるのだが、その辺りの空気が紫に滲み始めたことで変化が訪れた。その紫がグリーンの身体に接触すると、熱で煮沸するかの如き現象が起こり始めたのだ。
「ガスティーニ。面白いことを。そうでなくては」
高く、重く、静かな音が流れた。それを放ったサトリーヌの紫の唇の端は軽く吊り上げられている。
さて、サトリーヌは今から何をする?
1 ガスティーニのガスマスクを奪い取る
2 赤髪のベンスのガスマスクを奪い去る
3 槍でグリーンの命を葬り去る
4 バイゼルハイムをグリーンから取り出す
最初のコメントを投稿しよう!