レベル-3

2/8
前へ
/98ページ
次へ
 選択に数の限りはない。  暗闇に輝く火はとても美しいものである。それは石積みの壁に取り付けられた光。手に握るほの暗い明かりは、それと一つとなった。失われたことに僅かに悲しみを覚えつつも、光ある世界を望むのであれば、抗えないものである。  光の下には演説をするには丁度いい高さの、四角く整形された岩がある。その表面のほこりを左手で払い、ジャケットから取り出した薄型のPCを載せる。そして、ディスプレイを押し上げ、キーボードで文字を入力していく。  必要な事項を書き終え、その内容を保存したところ、それがスイッチであったかのように、石積みに取り付けられた光が姿を無くす。  再びまみえる、ほの暗い光に感動を覚えつつも、静寂の中に(わず)かな音が響き、空気の震えが起こっていることを認識した。それらを生物音とするのならば、複数の個体が居ることになる。なぜなら、周囲を半円状に取り囲むように、聞こえてくるのだから。  このような経験をしたことがあるだろうか? 1 ない。インドア派だ 2 ある。アウトドア派の中でもワイルドだ 3 わからない。人生はままならぬものだ 4 答えない。まるで屍のようだ  バイゼルハイムは2を選択する。天涯孤独の身であるバイゼルハイムには、よくあること。しかして、気持ちいいものではない。やはり、恐る恐る、白の手袋をはめた右の手で、ほの暗い明かりを前方にかざす。  まだ、距離があるようで、視界に何かの物体が入ることはない。そこで、右足を一歩前へと進める。そこには生物の鼻先と認識できるものが現れた。それは鱗で覆われていて、爬虫類であることが推測できるものである。高さはバイゼルハイムの膝ほどに見て取れる。  これはこれは。 1 逃げる 2 前進。左足を一歩前に 3 後退。右足を元の位置に戻す 4 不動。両手の拳を握り込む
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加