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バイゼルハイム4を選ぶことに大きく惹かれたが、紳士であるからして、気持ちを押し殺し、3を選択する。
「無知ゆえの無礼。お詫びを申し上げる」
頭を下げたバイゼルハイム。「グアラァ」という鳴き声を承認と受け取り、顔を上げる。そして、地面にほの暗い光を置き、一時の膠着が訪れた。
バイゼルハイムは額に汗を垂らしている。目尻は吊り上がり、眉間には大きなしわが出来ている。そして、僅かに震える唇。それが一つの線を描いたとき。バイゼルハイムの低くよく通る声が木霊した。
「我が名はバイゼルハイム。字は『創造と破壊の悪魔』。死刑判決を受けた身である。だが、非常時である。また、特異な事情によって、日本国にて、一般市民の位置にある」
バイゼルハイムは口を閉じる。一つ間をおいて、小さく息継ぎを行う。まだ、伝えるべきことがあるのだ。それを察してか、暗闇に潜む聴衆も、静粛を保っている。これに応えるため、バイゼルハイムの黒の瞳は輝きを放つ。
「我の目的は交渉である。そして、我が願いは共存である。我が意志に少しでも共感を示して下さるのであれば、この手を取ってはくれまいか」
静かに右の白の手を差し出したバイゼルハイム。愛想のある顔はしていない。切実こそ全てである。それは誠の心の現れ。これがバイゼルハイムの唯一無二の交渉術である。女人との会話さえ、まともにできぬ男の真実にして、最大限の歩みよりなのだ。
だが、相手からの応答はない。悲しいかな。言語を解する相手ではないことは、確かなのだ。
どうすれば良いだろうか?
1 待つ
2 近づく
3 声をかける
4 立ち去る
バイゼルハイムは全てを選ばない。黒の髪に覆われた頭で思い浮かぶ選択肢では、解決に至らないと想像が告げる。それならば、編み出すしかない。頼みは己の白の手のみである。
1 左の白の手で粉砕する
2 左の白の手で威嚇する
3 右の白の手で己の肉を取り出す
4 右の白の手でグリーンの何かしらを取り出す
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