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他者の選択に畏れを抱く。
長らく続いた暗闇の世界から放たれて、淡い光が広い空間を照らしている。陽光がここまで届くとは考えられぬが、そこには確かに地上で感じうる暖かみが存在している。
その上に、川のせせらぎが聞こえてきたならば、己が故郷さえも思い描くことだろう。
心に空いた穴は満たされつつも、喉に乾きを感じ、川へと足を進める。その道中に一際、目に入る物体が存在してる。
それは西洋にあるような美しき像。大理石でできた像であり、美しき女性をかたどっている。暖かみがありながら、畏怖を呼び起こすほどの白。それがこのような地下深くの川を挟んだ対岸に、存在しているのである。
望むべき行動は?
1 川を渡り、像に触れる
2 像を拝み、ここに記録を残す
3 像に警戒を示し、観察する
4 像との距離を一気に詰めて、粉砕する
バイゼルハイムは3を選び取った。なぜなら、像というものが、どれほどの意志を持つかを、身を持って知り尽くしているからである。
ではあるが、バイゼルハイムは自身の身体の悲鳴にも、紳士に接さねばならない。そのため、白い手袋をはめた右手を、己の左腕の上に置き、そこから白の右手の平を返すことによって、水をすくい取った。そして、白の右手に収まる、僅かな水分を口に注ぎ、自らの喉を潤したのだ。
そうして、欲求を満たしたバイゼルハイムは、依然として像を観察する。その姿は美しき者に魅入られた者の姿とも見て取れる。だが、額に汗し、目には恐れ浮かんでいるのだから、ここでの適切な表現は立ち竦むであろう。
この後のバイゼルハイムは?
1 不動
2 後退
3 前進
4 無視して、次の階に進む
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