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「………ホントに?」
「………えぇ。だって、さすがに名前が無いと、何かと不便でしょ?」
「………確かに。それは、………アリガトウ。」
エミルと僕の二人は、ひたすらに名前を考え始めた。………のだが、中々思い浮かばない。色々と候補は上がって来るのだけれど、………その時、唐突に地表が僅かながらに揺れ始めた。
「一体、何が起こってるんだ?」
しかし、やがて、地表の揺れは鎮まった。
エミルが言った。
「又、アイツ等が暴れてるのね………。」
「………アイツ等って、何?」
エミルは、話し始めた。
「………実はね、此処から東へ向かう途中に、帰らずの平原って呼ばれている場所があるんだけれど、………その近くに、ヒュランダルの遺跡って言う場所があるの。」
「ヒュランダルの遺跡………。」
「でも、最近になって、其処に住み着いてるヒドラって言う聖獣が暴れてて………。私にはどうする事も出来なくて、困ってるの。何か、悪い事の起こる前触れじゃなきゃ良いんだけど。」
その時、僕は思わず、口走ってしまった。
「………僕が何とかするよ。」
「………えぇ?………でも、何とかって。」
「取り敢えず、僕に、その洞窟の場所を教えてくれないか?………此処で何もしないで指を咥えてても、どうにもならないし。其処へ行けば、何か活路を見出だせるかも知れないから。」
「………分かったわ。その代わり、私も一緒に付いて行って良い?」
そして、僕はエミルに誘導されて、そのヒュランダルの洞窟へと向かうのだった。
洞窟の内部は、物凄く入り組んでいた。下へ上へ右へ左へ………。一体、誰がこんな洞窟を作り上げたんだろう?所々に、炎を灯す灯籠が石造りの壁に取り付けられている。明らかに、何者かによって人為的にこしらえられた事の証である。
しかし………。
ヒドラって、誰が産み出したんだろう?
エミルは、ヒドラの事をアイツ等と言った。即ち、ヒドラとは単体では無い事を意味している。どのくらいの数のヒドラが暴れてるんだろう?果たして、僕に太刀打ち出来るのだろうか………。
そんな不安は少しはあったのだけれど………。
しかし、その後、そんな不安も震撼させる事態に遭遇する、僕とエミルなのであった。
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