出現!…メドゥーサの神聖鎧

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出現!…メドゥーサの神聖鎧

僕は、エミルと一緒に、遺跡の中をひたすらに歩き続けていた。 最早、遺跡の入り口さへも見失ってしまっている二人。やがて、僕達は、遺跡の中で迷い迷っているうちに、唯一光が立ち込めている、岩肌に囲まれた空洞へと辿り着いた。 其処には、何と、煌びやかな迄に輝き続けている大きな岩の塊がたった1つだけ、石造りの台座の上に残されていた。 僕は、その岩の塊が気にかかり、そっと手で触れようとしたその時………! 「ギエエエェェェェェェ………!」 僕とエミルが佇んでいる後ろの方から、けたたましい鳴き声が響いて来る。やがて、何者かが僕達の下へと近付いて来る足音が聞こえて来た。そして、僕とエミルの目の前に姿を現したのは、九つの頭を持つ龍の姿形を型どった、ヒドラと呼ばれる聖獣なのだった。 忽ち、ヒドラは僕達二人に襲いかかって来た。 ヒドラの頭の1つが、何千度にも及ぶ灼熱の炎を僕達目掛けて、何度も吐き出した。僕とエミルは、辺りにある岩の物陰に隠れて、炎に因る焼死から難を逃れた。 エミルが僕に言った。 「気を付けて。あの炎に焼かれたら、私達、石にされちゃうから!」 「………え?………そんな話、聞いて無いよ。」 「………でも、アナタ、言ったでしょ?………アナタが何とかしてくれるんでしょ?………このままじゃ、私達、二人とも石にされちゃう。」 ………辛いよね?………こんな時。………何の力にもなれないなんて。記憶も無い。何か特別な力すらも無いなんて。………もし、僕に、特別な力さえあれば、相手の炎に石にされるなら、僕が先に相手を石に出来る力。 ………欲しい。欲しいよ!………僕は、この先、どうなったって良い。せめて、エミルの無事だけでも護れる力が!!! 「………エミルは其処で隠れてろ!………アイツは俺が何とかするから。」 「………え?………俺が?」 ………そうだ。これは、僕が、いや、僕だけに見えている悪い夢だ!………僕は眠ってるんだ。きっと、そうだ。そうに違い無い。全ては何者かに与えられた感覚。視覚も、聴覚も、嗅覚も、味覚も、そして、触覚さえも。………全ては其処に存在しているかの様に思わされているだけの幻想に過ぎない。 全ては、僕がアイツに石にされれば良かっただけなんだよ。何故、そんな事に気が付かなかったんだろう? 僕の生命1つで、エミルを護れるのなら………。 僕は、僕の生命なんて惜しくは無い! 「アアアアァァァァァァァァ………!!!」 ………その時、僕は、全身全霊の力を以て、強大な力を持つヒドラを相手に立ち向かって行った。 ………そう。………僕の死を覚悟して。 しかし、その時、………奇跡は起こった! 直ぐ傍らにある台座の上に置かれてある岩の塊が、突如として爆発を起こし、その中から黄金に輝く何者かを象った石像が姿を現した。 エミルが、僕の背中越しに叫んだ! 「………あれは、メドゥーサの神聖鎧!?」 ………メドゥーサ。………メドゥーサって、何?
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