古道具屋の繭

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「そうだけど。  なにかこう、此処の方が安らげるのよ」 と言うと、 「だから、そういうこと言うと、僕が勘違いするからやめてって」 と笑っている。 「ゲイの癖に、なに言ってんの。  っていうか、その噂、本当にほんとなの?」 と言うと、繭はその綺麗な顔を近づけ、 「――試してみる?」 と言う。 「……私、男じゃないんだけど」 「だから、ほとりさんと出来なかったら、ゲイだってことでしょ」  そう笑う繭に、なにそれ、と言ったほとりは腕組みをし、 「でも、その噂、本当なら、環に近寄らないでよねー」 と睨んでみせた。  だが、繭は、 「僕、環は好みじゃないんだよねー」 とあっさりと言う。 「大体、この狭い町で一緒に育ったんだよ?  兄弟みたいなもんじゃない。  よくみんな、近場で結婚できるよね。  近親相姦みたいで気持ち悪い」  本当に言いたいこと言うなあ、と思いながら、ほとりは見ていた。  まあ、この毒舌も思春期の女子高生たちには、いい刺激となっているようだが。
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