何処の強姦魔だ

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   その日、本堂に来た客の相手をほとりがしていた。  それを見ながら環は、なんだかんだでこいつ、すぐに何処にでも馴染むよな、と思っていた。  花恵さんというおばあちゃんを連れてお参りに来た三田村さん一家は面白おかしく子どもの話をしていた。  だが、花恵さんは時折、誰も居ない方を向いて話し出す。  それを見た三田村のおばさんが、困ったように言ってきた。 「うちのおばあちゃん、たまにボケるんですよねー」  それを聞いたほとりが笑って言う。 「え?  ボケてはらっしゃらないですよ。  普通に話してらっしゃるじゃないですか、霊と」  霊と!? とみんなが一人でしゃべっている花恵さんを二度見する。  ……この莫迦嫁が。
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