何処の強姦魔だ

10/42
前へ
/335ページ
次へ
 ロープ?  ならいいけど、場所が場所だけに。  蛇だったりしてっ、と慌てて足を振り回す。 「ちょっ、ちょっとっ! 待ちなさいっ」  転がり出るようにして、蔵の外に出ると、薄い月明かりの下に環が立っていた。  こちらを見、呆れたように、 「……何処の大運動会だ」 と言う。 「今の強姦魔……、環?」 「強姦魔?  何故、俺がお前を強姦する必要がある?」  お前は俺の妻じゃないのか、と言われた。  ま、それもそうだな、と思い、自らの身体を見下ろしてわかった。  今、環が大運動会だと言ったわけが。  まるで、小麦粉の中から、飴を捜したときのように、顔も身体も真っ白になっていた。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1209人が本棚に入れています
本棚に追加