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「あのー、貴方が私になにもしなかったのは、私を警戒していたからではないんですか?」
「それもある……」
と環は渋い顔で言ってきた。
親が送り込んできた怪しい嫁だからだろう。
この人自身に後ろ暗いところがあるからな、と環を見ていると、
「だが、お前は一応、結婚して此処に居るんだろ?
だったら、妻としての役目を果たせ」
今のままでは、夫婦ではない、と言われてしまう。
「いやいや。待って待って。
そういうことしなければ夫婦じゃないというのはおかしくない?
一緒に暮らして、同じ釜の飯を食ったり、楽しく二人でお話ししたり、そういうのが夫婦じゃないの?」
釜の飯を食ったり? 合宿か? と訊き返される。
「毒を食らわば、皿までだ」
そう淡々とした口調で環は言ってくる。
「私、毒ですか」
「皿だろう」
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