何処の強姦魔だ

14/42
前へ
/335ページ
次へ
「あのー、貴方が私になにもしなかったのは、私を警戒していたからではないんですか?」 「それもある……」 と環は渋い顔で言ってきた。  親が送り込んできた怪しい嫁だからだろう。  この人自身に後ろ暗いところがあるからな、と環を見ていると、 「だが、お前は一応、結婚して此処に居るんだろ?  だったら、妻としての役目を果たせ」  今のままでは、夫婦ではない、と言われてしまう。 「いやいや。待って待って。  そういうことしなければ夫婦じゃないというのはおかしくない?  一緒に暮らして、同じ釜の飯を食ったり、楽しく二人でお話ししたり、そういうのが夫婦じゃないの?」  釜の飯を食ったり? 合宿か? と訊き返される。 「毒を食らわば、皿までだ」  そう淡々とした口調で環は言ってくる。 「私、毒ですか」 「皿だろう」
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1209人が本棚に入れています
本棚に追加