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「あの男、探してやってください。
きっと生きてはいないです。
此処へ逃げ込む途中に、捨ててある車がありました。
立派な車だったから、帰りに取って帰って売っぱらってやろうかと思ってたんですけど。
あいつ、そこで寝起きしてたみたいです。
探してやってください。
そして、自分がやりすぎだったと反省していると伝えてください」
と男は土下座したまま言ってくる。
「こうしてても、あの男の娘や妻の顔が浮かんできて。
どうしているだろうと……」
と泣き始める。
……うーむ。
死んで、涙腺が緩くなっているようだ。
死んでから改心するというのも大変なのだな、と思いながら、ほとりは土下座し続ける男の頭を眺めていた。
穴があったら入りたいという気持ちが、この霊を冷蔵庫と壁の隙間に追いやっていたのだろう。
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