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ほとりは素直に手を洗ってうがいをし、環と二人でおこたに入り、せんべいを食べた。
そのあと、ひとり、縁側に座り、風に吹かれる。
いい風だなあ。
ちょっと冷たいけど、昼間の縁側は日差しが強いから、ちょうどいい感じ。
そんなことを考えていると、後ろから、トコトコなにかがやってきた。
ワタシ ミワチャンヨ
と言いながら、あのナントカちゃん人形がやってくる。
ナントカちゃん人形って……
もしかして、ミワちゃん人形というのかな? これ、とほとりはこちらに向かい、よちよちやってくるそれを眺めた。
有名どころの人形とは違うようだし、意外にこういう人形は種類があるので、よくわからない。
ワタシ ミワチャンヨ
コンニチハ コンニチハ コンニチハ
ずっと挨拶してるけど、礼儀正しいな、ミワちゃん。
もしかして、環の前に住職だったという美和さんが、こう言って、人形に話しかけてたとか?
そんなことを思いながら、近づいてくるそれを見ていた。
古いものには霊が宿ると昔から言うけど。
こういうヒトガタのものには特に霊が入りやすいからなー。
ただ動いて、挨拶しているだけで、特に害はないんだけど。
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