PsybOrg009

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「ほう・・しかし、そういうことでしたら、むしろ宗教学者の方が」 「そういう、なんというのかな、”哲学的"な話を聞きたいわけではないのです、僕たちは」 「ほ・・う」  そういいながら、東丈は、目の前の青年に、言うにいえない”違和感”を感じた。敵、悪、ましてや”幻魔”でもなく・・そういうことではない。しかし・・潜在分はわからないが、超能力者ということでもない。未知の”違和感”としかいいようのないもの。  もし、故プリンセス・ルーナのような精神感応力をもっていれば、容易にその正体がわかるだろうが。あえていえば、”人であって人であらざるもの”としか言いようがない。  その意味では、島村ジョウ自身が東丈の研究対象であってもおかしくない。そんな感覚だ。  しかし、多忙なジョウは、予定をつめると、丈が取材を始める前に、そそくさと事務所を去ってしまった。  聞けば、その日に、彼が自ら迎えに来てくれるというのだ。取材は、その時に行うしかない。  そして、気がついた。何も考えていなかったが、その”講演会”の会場がどこか、まったく確認していなかったのだ。 「・・・へえ、ここがおっさんの仕事場か」不意に現れた青年が言う。  黒い服に銀の木の幹と枝のような刺繍。いささかコスプレ風だが、これが彼の”お気に入り”なのだから、仕方がない。いや、”お気に入り”というより、”こだわり”というべきかもしれない。 「おにいさん、日本の家では、靴を脱がなきゃ」青いジーンズの上下を着た青年が言った。 「あ、そうだったな。忘れていた」  この二人、服装と髪型で区別するしかないほどそっくりなのだ。  双子、名前は、ジンとルーフ、超絶レベルの超能力者だ。父親はマ王と呼ばれる”幻魔”そして母親はエリコという名の超能力者であったという。  マ界に君臨したマ王は、優れた子孫を得るために、超能力者の女と交わることを自分の仕事としていた。  マ王たちの子供たちなのだが、彼らが幻魔の一員というわけではない。”太陽の戦士”の一員として、活躍していることを東丈は知っている。 「ようこそ」 「お邪魔します」 「む、来客中か」テーブルの上のコーヒーカップを見て、ジンが言った。 「いや、ほとんど入れ替わりでね。講演の依頼」 「ふうん」 「お忙しいのですね」 「そうでもない。暇ではないけど、充電期間ってところかな。それを言えば、君たちのほうこそ、幻魔ハンターとして、忙しいのじゃないのかい」
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