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一章:危機はチャンスじゃなくてピンチ
---Opening---
『第二設定世界:深愛のリプカ』
――もし、自身が自分以外の何者かであったなら。
この仮想世界は、そんな誰もが一度は思い巡らせたであろう想像を限りなく忠実に実現する。
舞台は何処にでもあるような普通の学園。特別なのは、主人公である自分自身。但し、それは自分であって自分ではない。
この世界では、現実では決して選ぶ事の叶わない”初期設定”を自分の意思で配する事が出来る。
好きな名前、好きな学年、好きな外見。倫理的な制限はかかるものの、異性になる事だって意のままだ。
才能や知識、身体能力などは万能とは行かずとも、規定のポイントを振り分ける形で理想に仕上げられるようになっている。
恋愛を楽しむも良し。その気があれば学園のアイドルとだって付き合える。
友情を育むも良し。裏切る事のない友人と一人では出来ない遊びを存分に堪能できる。
部活動で名を上げるも良し。大会で優勝も夢ではない。
難易度は初期設定次第。PCだけでは足りない部分はNPCが補って、幾らでもプレイヤーを気持ち良くしてくれる。
新感覚コミュニケーションゲーム。仮想青春シミュレーション。ジャンルという括りに収まりきらない自由が此処にはある。
『第四設定世界:廻星のアリス』強化シナリオのクリアに合わせるかのように、リリース当初から根強い人気を博する『リプカ』に近日、新機能が実装される事になった。
追憶モード。初期設定を決められる良さを残しつつ、素材の配分は控えめに。初期化された仮想の舞台で、プレイヤーは幼稚園児から始まり、その”行動”で”人生”を設計していく。
そして、それと同時期。一度は生徒達に勝手にバグとして認められて、捨て去られ忘れ去られた筈のクエストが息を吹き返し、再び学園中の関心を集めるようになる。
――ここは、見渡す限り紛い物の世界。かぐや姫とて、もう少し気の利いた注文をするだろう。
[クエストNo.00:この世界の真実を暴け]『真実のアイを探せ』
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