55人が本棚に入れています
本棚に追加
2章「子供っていいよな、希望の塊って感じがする」
水で荒れた手が素肌を撫でる。
薄く肋骨の浮いた肌を撫で上げ、小さな胸を包むように触れられる。
慈しむように目元を親指が撫でた。隈の浮かぶ私の顔なんて見たところで……。
裸を見られ触れられることももちろん恥ずかしかったが、なんというか、私が女として見られている事が嫌にむず痒い。
毛布をひきかぶりたい気分だ。
耳元で名前が呼ばれる。小さく、大切に。
そんな大事な名前じゃないのに。そんな温かさをにじんだ声で呼ばないでほしい。
こめかみが熱い、答えるように相手の首に腕を回す。
こうなったら私も呼んでやる。この一夜で一生分呼ぶ勢いで呼んでやろう、私だけこんなに恥ずかしいのは不公平だ。
「 」
最初のコメントを投稿しよう!