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目覚めは最悪だった。
ドアの向こうから気遣う穂積の声がした気がする。とても応えられない。
ぐわんぐわんと視界が回る、胃液すら吐き終わりえずくばかり。
便器を抱え込んだ腕が嫌に震えた、涙が止まらない。
胎の中に物が入っているような心地がする、あの夜があったのはもう半年以上も前なのに。
もう相対できない愛しい相手への寂しさか、それとも勝手に恋した親友への罪悪感か。
それともまともな体ではなくなった自分自身への苛立ちか。考えるほど頭が茹だる、もう何もしたくない、何もかもうんざりだ、天井から床へ叩きつけられているような錯覚がする、脳天が揺さぶられている。
便器に血が散った。逆上せたのか鼻血が出ていたらしい、滑稽にもほどがある。しばらく見ていない景色だ。馬鹿らしい。
「ふふ、はは、あえ゛ぇっ。」
額の方に血がさがる。ボロボロ鼻血が流れて涙と混ざって落ちていった。
気持ちが悪い、鉄錆じみたにおいが不快だ。くらくらと頭が沈んでいく。
耳の裏から血の気がさがり、何も見えなくなる。
ふと足元を涼しい風が撫でた気がした。
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