2章「子供っていいよな、希望の塊って感じがする」

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 「感謝を伝える…ねえ。」 現在探偵社二階リビングでは、探偵署員と小学生とデザイナーが、住職にプレゼントする感謝の品を考えていた。 「住職って職業柄、何を普段使うのかさっぱりわからないのよね。」 安易に加わったプレゼント会議は、初っ端から難航していた。 「冬秀のお仕事してるところ、僕見てみたけどポクポクする奴とかやってるのしかわからない。」 「木魚かな。」 「木魚プレゼントはハードルが高いな。」 あいにく熱心な宗教家はここにはいなかった。 なおかつ、多木が知る烏羽は、ツッコミも担うがどちらかというと天然ボケの気があった。 「私が得意なのだと料理か。ただ宗教ってなると、食べちゃいけないものとかもあるのか?」 烏羽がうんうん唸っている。 志半ばに終わったが、元は料理人を目指していた烏羽だ。血色の悪い腕には、今でも修業時代に負った火傷が覗いている。 やろうと思えば、精進料理の一つでも作れそうだが、プレゼントとしてそれはどうなのだろう。 「お姉ちゃんは、料理をプレゼントしたことがあるの?誰にプレゼントしたの?」 子供の柔らかい声が耳を叩く、たわいのない質問に俺は内心ひやりとした。 しかし烏羽は特に気にした様子もなく 「したことあるよ、白って女の子。」 と軽く答えた。拍子抜けするほどサラリと答えられたその名前に少し寂しいような心地が増す。 「しろちゃん?」 「そう、白ちゃん。学校の友達でね、料理が苦手だったからいつも作ってあげてた。」 今は、どこにいるかわかんないんだけどね。何とも軽い口調で答えた烏羽に、翔太君は目を瞬かせる。 「寂しくない?」 「寂しい、とはちょっと違うかな。今も探してるけどね。」 「今も白ちゃん好き?」 烏羽は少し目を伏せてから、ゆるりと口元をほころばせる。 「うん、好きだよ。」
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