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自分がどれだけ恵まれた環境にいるのか分かってない。平和ボケした人、幸せ慣れした人ほど強欲になる。大切な人を繋ぎ止めたい……そんな欲望を持って「神様の家」に近付く。
あれは確かにすごいプログラムだ。考えた人は最初で最後の天才で、相当イカれた人だろう。この世の全てを憎んだ人。きっと同性愛者が煙たがられていた時代に生きてた人だ。
思想や思考を奪い、先の先まで読む。人口知能を持った……感情を持った、神様の家。淡い光を発し、星が降る夜空を実現する。そこに訪れた人間は、最大の自由を失う。
興味があったから死ぬ気で調べた。生きる意味とかどうでもよくなるぐらい。警察に強制連行され、不思議な画面を見せられたこともある。特に何も起きなかったけど、あれは人を精神崩壊させる違法な映像だということが分かった。自分に何も影響がなかったのは、恐らく神様の家にアクセスしたからだ。
そう、もっと早くに告白しようと思ったことが末尾になって申し訳ないけど、神様の家にアクセスした。辿り着くことができたから、こんなことが書ける。
神様の家の正体は、いわゆる洗脳ウイルス。開発者が悪意を基に生み出した有害なマルウェア。解析に失敗すれば精神に異常をきたす映像が流れ、成功すれば自身の情報と想い人の情報を要求される。そして二人をマッチングさせる為の病をかける。これだけは人それぞれだし、方法もいささか非現実的なものが多くて信じられないと思う。
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