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 坂本を連れてカウンターに戻ると、先輩がさつきに話しかけてきた。 「奥の方がうるさかったから、ちょっと心配してんだけど……大丈夫だった?」  さつきが簡単に事情を話すと、先輩はいたく感心したようだった。 「すごいな、本城さんは」 「え、そんなことないですよ」 「いや、すごいよ。本当に」  本心から言っていることが分かる、確信に満ちた口調だった。手放しの称賛に、どこかくすぐったい気分になる。  良かった。行動したことを認めてくれる人は、ちゃんといる。  箱から鍵を取り出して坂本に渡すと、ああ、と声が漏れた。 「……ありがとうございます。探してたんすよ、これ」  改めて頭を下げる坂本に、さつきは「あの」と切り出す。 「私、一年生なんで。敬語じゃなくていいです」 「え、マジで?」  案の定、坂本は驚いたようだった。 「すげーな。一年で、先輩にあんだけ啖呵切れるなんて」 「啖呵って……」  褒めてくれるのはいいが、まるで喧嘩を売ったような言い方はやめてほしい。  露骨に顔をしかめたさつきに、カウンターの中で図書委員の先輩が小さく吹き出した。 「二人とも、話すなら外に行ってきたら?」
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