【プロローグ】 六人の少年と古の魔物

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「話を聞いてなかったのか? これは遊びじゃないんだぞ」 「話を聞いたからだよ。僕たちのせいで、チャーリーは困っているんだ。見過ごす訳にはいかない。それに、もう仲間でしょ?」 「馬鹿を言うな。誰が仲間なんかに……」 「仲間だよ。だって、チャーリーは僕たちを助けようとした。今だって、危険な事から僕たちを遠ざけようとした。だから全てを話してくれたんでしょ? それが仲間じゃなくて何なのさ?」 偽りの無い純粋な言葉は、一人で戦っていた少年の心を優しく包み込んだ。 「僕は……」 少年は胸を熱くし、恥ずかしそうに頬を赤く染め、目を泳がせながら呟く。 「僕は仲間だなんて思わないからな。だけど、そんなに言うなら……もう少しだけ一緒にいてやる」 「宜しく、チャーリー!」 体裁(ていさい)なんて気にしない。上辺だけの付き合いなんて必要としない。子供だからこそ生まれた強い絆で六人は繋がる。 こうして、アルファたちは毎日のようにチャーリーの屋敷へと集まった。チャーリーの先祖が残した文献の見直し、飛緑魔の情報収集、今後の行動と対策など、それぞれがミッション達成に向けての日々を過ごす。 逃げ出した飛緑魔に襲われる事も想定して、体を鍛えるのも忘れない。屋敷の住人には空手などの経験者もいたので、積極的に学んで行った。 だが、予想に反して飛緑魔は現れない。ダメージが大きすぎたのか、興味を失ったのか、真実は分からないが、チャーリーたちが成長するには好都合だった。 そして、七年の月日が流れる…… …… …… …… ……
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