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会話は途切れ、「そろそろ話をしてもいいか?」と切り出したチャーリーに視線が集まる。
「結果から先に言おう。ブラボーの情報を元に渋谷で飛緑魔を探して接触した。だが、逃げられた。みんなに何も言わず、勝手な真似をしてすまない」
無駄を嫌うチャーリーのストレートな言葉が、アルファやエコーは勿論の事、冷静なブラボーさえも驚かせた。
どう反応して良いのか分からず固まっていると、後ろにいたデルタが話を繋げる。
「色っぽい姉ちゃんだったな。酒とか店って言ってたから、スナックやバーで働いてると思うぜ。チャーリー、これからどうする?」
「一緒に居たサラリーマンは美咲と呼んでいた。空いた時間でいい、アルファとエコーは飲み屋関係を探してくれ。但し、見つけても深追いはするな。僕とデルタの二人掛かりで、触れる事さえできなかった相手だ。恐らく六人の飛緑魔の中で最恐の奴だろう」
重苦しい雰囲気が漂い、アルファたちの額にじんわりと汗が滲む。
今まで現れなかった飛緑魔との接触、チャーリーとデルタの二人でどうにもならなかった事実、それらが小学生の頃に感じた恐怖を思い起こさせたのだろう。
そして、浮かび上がる疑問をブラボーが口にした。
「六人なら勝てるのか?」
「分からない。それも含めて色々と相談したいから、この後もブラボーは残って欲しい」
「了解だ」
一人だけ何も指示が出ないデルタは、自分を指差してアピールする。
「明日以降で構わない、デルタは仕事仲間から飲み屋関係の情報を聞き出してくれ。それと、フォックスにも伝えないと……」
「分かった。今日は一日暇だから、フォックスには俺から話しておくよ」
「頼む」
過去に植え付けられた恐怖心は拭えない。それでも心に迷いは無く、それぞれが目的を持って動き出す。
その頃、講義を終えたフォックスは公園のベンチで休憩していた。
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