死亡届にご記入願います。

2/10
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 白服は笑顔で死亡届を渡す。自分の死亡届を自分で書いているのは妙な気持ちだ。その後長々と天国の説明を受ける。天国では不老不死であること。職業に就かなければならないこと。法律や文化などがあり、現世とあまり変わらないこと。お盆に帰省できること。そして人々はそんな天国を「天(あま)」と呼んでいること。 「天行きの列車が駅から出ています。この列車は本当におすすめですよ。車窓が素晴らしい」  白服は笑顔で駅までの地図と切符と渡す。思えばずっと笑顔だ。 「毎日零時発車です。急いで」  時刻はもう十一時半を過ぎていた。駅までは到底間に合う距離ではない。 「さすがにもう無理ですよ」  そう言うと白服は笑顔で笑った。 「あなたは亡くなったのですよ。わざわざ地面を歩く必要なんてない」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!