神様、世界の終わりを見せてくれ

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一つ、物語を話しましょう 昔、月には魔法がありました 月は世界各国 どこからでも崇められる大魔道士でした 彼または彼女は 世界の人々から魔法の根源として 愛されました その当時、月はいつ何時 昼間でも見ることが出来ました 皆様方もご存知でしょう、真昼の月を 真昼の月はその名残でございます それが『燃える月』の正体でございます 『燃える月』は 太陽と人々に障害がないようにしていた 調律者でした ゆえに、我々人類は太陽の光を受け 日々の糧を得ることができました しかし、我々人類は誤解します 「太陽こそが偉大なる魔道士だ」 『燃える月』は怒り悲しみました しかし、真実に偉大なる魔道士は 人々を呪う事などありませんでした そのまま宇宙の静寂へと姿を鎮めたのでした 『燃える月』の恩恵を受けていた我々は 太陽の恐ろしさを知ります 太陽は気まぐれに大地を乾かし 作物を枯らしました 我々はそのたびに餓え渇き、死滅しました 我々は再び気づきます 「あの月こそが真の魔道士だ」 しかし、『燃える月』は 以前とは姿を変え、ただ夜にあるのみです 皆様方もご存知でしょう、真夜の月を それが『凍れる月』の正体でございます 物言わぬ『凍れる月』は 冷ややかに我々を天から見つめています もしかしたら見てもいないかも知れません ただその真っ黒な世界にあるのみです 世界は無垢の時代から 不純の時代へと移り行きました さて、ここで賢明な皆様はお気づきでしょう ならば『満ちる月』と『欠ける月』の正体は何でしょうか それはまた この次にでもお話いたしましょう 今はこれにて 物語は終焉を迎えましてございます
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