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「……何、見せたくないものって。」
「……。」
「僕に、隠すの?」
スターニャは、どうしよう、と眉を八の字に下げ、上唇で下唇を噛む。
ああ、こんな時ですらスターニャを可愛いと思ってしまうが、僕はスターニャに隠し事をされていることに、ほんの少し腹が立った。
「わかった、もういい。」
わざと、そっけなく言い放って、スターニャの顎と腰から手を離して、背を向けた。
スターニャは、えっ、と声を揺らす。
「スターニャ、僕はね。寝る前には君におやすみって言いたいし、朝起きたら、隣に君が居て、おはようって言いたい。……ただ、それだけなんだ。」
まあ、朝目が覚めて隣に君がいたら僕は間違いなく抱きしめちゃうけど、という本音は胸の内に隠し、スターニャへ顔だけ向ける。
「君も、喜んでくれるかなって思った……でも、それは僕のワガママだったようだし、諦めるよ。」
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