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僕は素知らぬ感じで、スターニャへと返す。
「ヴィアンカ様の気持ちをご存知のくせに……私にその名を出すんですね。」
「何のことかわからないな。」
「……契りを交わしたあとの寝室は、同室で構いません。ヴィアンカ様と二人きりで話すなど、駄目です。」
駄目、と言ったヴィアンカは、僕を抱きしめる力を強めた。
いつもの僕なら、これでちょちょいのちょいと、スターニャを抱きしめ返してキスのひとつでもしてただろう。
けれども僕は、体をスターニャと向き合う形へと反転させて、スターニャの肩へと両手を乗せると、スターニャの肩を押して、僕から突き離した。
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