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すると、スターニャがあからさまにほっとした表情を浮かべて、僕から距離を取った。
ああ、そういう態度をとるんだ、と僕は声に出さず笑う。
「……スターニャ。」
「は、はい。」
僕はスターニャを呼んだ。
声色の低い僕に、スターニャの肩がびくっと上がる。
僕はスターニャの肩に、ぽん、と片手を乗せて、耳元で囁く。
「取り敢えず……見せたくないものは、スターニャが寝る前に書いている日記だろう。大丈夫、僕はもう毎日見てるから、隣で書いてくれて問題ないよ……こないだの馬車の中でのキス、嬉しかったんだもんね。」
それだけ言ったら、僕はスターニャから離れた。
僕が何を言ったのか、すぐには理解できなかったようで、スターニャはぽかんと口を開けて、瞬きを二回した。
そして、段々と、僕の意味を次第に理解していくと、可愛らしい大きな瞳に涙を浮かべて、頬を林檎のように染め上げた。
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