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「どういうこ、」
どういうことですか、とスターニャが言い切る前に、僕は親指と中指を擦り合わせて、スターニャの体を書斎からスターニャの自室へと、飛ばした。
「くくっ。」
今頃、羞恥心に塗れて、枕に顔を埋めながら叫んでいるに違いない。
スターニャを思い浮かべ、僕は口元に手をあてて、思わず笑い声を零す。
視界の端で、ボンボが呆れたような目を向けていたけれど、スターニャの反応に満足した僕は、心躍らせながら仕事に戻った。
ああ、本当にスターニャは可愛い。
fin.
「ギルバート殿下。」
「なんだい、ボンボ」
「どうやって、スターニャ嬢の日記をご覧に?」
「スターニャは、むかしっから変わらず日記を枕の下に魔法で隠しているからね。難しい魔法をかけているつもりなんだろうけど、僕には解除は簡単さ。」
「……。」
「何だい、その目は。僕だって、最初はスターニャの枕元におかしな魔法がかかってるから、解除しただけなんだよ。そしたら、出てきたのはスターニャの日記でさ。4歳のときに、兄上に惚れたなんて書いてあったのを見てからは、ね。」
「毎日、チェックするようになった、と。」
「何か問題があるかい?ボンボ」
「いいえ、ギルバート殿下。ただ、」
「ただ?」
「お戯れが酷すぎると、嫌われますよ。」
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