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ギルバート様の仰られる『兄上』とは、先程、私が偶然城内でお会いした、ソラリス様のことをさされています。
王家の方たちは基本的に皆様お忙しいのですが、次期国王の座を争われている王子たちは、各々功績を残すために更にご多忙です。
ソラリス様と直接お顔を合わせるのは私も数年ぶりで、ソラリス様からお声がけいただいたこともあり、思わずその場でお話ししていたのですが、どうやらその事が、ギルバート様の目か耳かに入ってしまったようです。
ソラリス様へ会釈して立ち去り、角を曲がった瞬間、気がつけば私はギルバート様の上に座っていました。
とまらないギルバート様の指の柔らかな動きに翻弄されて、私はもう、この場から逃げ出したくて仕方なくなります。
「僕にこうされたくて、わざとなの?ねえ、スターニャ。」
私のびくつく反応に、ギルバート様は意地悪く口角を上げられ、指の動きをより艶かしいものにします。
「ぐ、偶然お会いして、少しお話しをさせていただいただけです。おろしてください。」
私は敵わないとわかりつつ、ギルバート様の手から逃れるために、両手で抱えていた資料を左手だけで持ち、ギルバート様の胸元を右手で押して、ギルバート様の上から降りようとしました。
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