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すると途端に、背に回されていたギルバート様の腕に力が入り、私の体はより一層ギルバート様の体に密着させられてしまいます。
「駄目。」
「っあ」
--バサバサッ
ギルバート様が私の耳元で囁くものだから、ギルバート様の吐息が耳を撫でるようにかかり、背筋にどうしようもならない感覚が走ります。
一瞬だけれど左手の力も抜けて、資料を床に落としてしまいました。
無残にも床へ散らばった紙を見下ろしたギルバート様は、なにやらいたずらを思いついた子供のような表情を浮かべると、親指と中指の腹部をくっつけました。
待って!
私は心の中で、そう叫びました。
ギルバート様がその指をずらすとき、それは、何かの魔法を作動させる合図です。
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