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「ねえ。こんなのどうかな。」
「きゃっ⁉︎」
私の心の叫びも虚しく、パチンと音を鳴らしたギルバート様は、床に散らばった紙を宙に浮かせると、その紙をつなぎあわせて、まるで椅子のようなものを形づくりました。
そして、宙に浮いている紙の椅子の上に、私を座らせます。
「ギ、ギルバート様。」
腰掛けた時の感触はやっぱり紙で、どこか不安定で落ち着かず、私は目の高さにあるギルバート様の両肩を掴み、降ろして欲しいと訴えました。
「ん、いい眺め。」
察しのいいギルバート様は私の訴えをわかっているでしょうに、満足そうに笑うだけで、降ろしてくれません。
あまり高さはないとはいえ、ギルバート様が魔法を解除するタイミングによっては、私はみっともなく床に尻餅をつくことになります。
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