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そんな不恰好な姿を想像して、これはもう、自力で降りるしかないと思った私は、ギルバート様の肩から両手を離そうとしました。
でも、ギルバート様は、肩を掴む私の両手首を掴むと、綺麗な顔を私に近づけ、一瞬で私の唇を塞いでしまいました。
触れるだけのキス。
ギルバート様の顔は、すぐに離れていきましたが、私は瞼を閉じる暇もないままの出来事に、呆気にとられて固まってしまいました。
満足そうに笑うギルバート様の顔が見えて我に返った時には、ギルバート様の指を鳴らす音が聞こえました。
紙で作られた椅子がなくなり、私は最初にギルバート様が座っていた椅子に座らせられてました。
そして、ギルバート様ご自身は私の前で跪き、私の右手を掬うように、そっと持ち上げています。
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