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また、更に、トルネード殿下には放浪癖もありました。 『殿下!ああ、一体、いままでどこに行かれてたのですか!』 『ん?騎士団の団長に頼み込んで、黒龍の討伐に連れて行ってもらった。黒龍って案外弱いのな。』 トルネード殿下は、公務の時間になっても姿を見せないと思ったら、魔法騎士団の者たちの討伐業務に同行して、返り血を浴びて帰って来たり。 また時には、同盟国の行事に忍びで参加していたり。 トルネード殿下の公務の穴埋めの手配などで、王家の皆様、各大臣たちに頭を下げ回るのは、側近執事の私の役目でした。 何度注意しても治らないトルネード殿下の放浪癖に、私は王子がいつか帰ってこないのではないか、それは困る、と思っておりました。 『殿下!』 『なんだ、ボンボ。』 『なんだ、じゃありません!』 『ボンボ、老けたな。』 『誰のせいですか、誰の!』
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