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事あるごとに問題を起こしてばかりの殿下に振り回される日々。
若かりし頃の私は、何度も頭を悩ませ、毎日声を荒げ、いつのまにやら、どんどんと頭の毛が抜けていきました。
『苦労をかけてばかりで悪いな。』
『ご理解頂けているのであれば、もう少し落ち着いた行動をお願いします。』
何度も交わした、このやり取り。
私は、心の底からの想いで、トルネード殿下に申し上げておりました。
『ボンボ、この国の資料を集めてこい。』
『……殿下、この国は、殿下の管轄外かと。』
『ふん。王族や権力者たちの豪遊で、国の国民たちの飢餓が進んでいるらしい。国民を守れない王にはとっとと退いてもらうさ。この問題を知らぬ顔でいた我が国の“阿呆”も、また然り、な。』
ただ、殿下の行動の“本当の意味”に気がついてから、私が殿下の行いを咎める回数は、次第に減っていきました。
『成る程、我が国の王子も黙認していた、と。一体、どこからその情報を手に入れられたのですか。』
『昨日の女。下調べは済んだ。』
『……そうですか。』
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