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「あんた、綺麗だな。」
勇者ユウキが、手洗い場から戻り僕の元へ向かっていたスターニャへ、声をかけたのだ。
他国の王子の婚約者に突然声をかけるなど、当然、無礼にあたる。
しかも、王子である僕がスターニャのことを溺愛していることは、既に周知の事実。
勇者一行を除いて、会場内全員の表情が凍りついた。
玉座に腰掛けているトランペット国の王は、おそるおそるといった様子で、僕の顔を見る。
(……どうやら、貴国は我が国を敵に回したくて仕方ないようですね。とりあえず、彼の両腕を切り落とせばいいでしょうか。)
僕は、トランペット国の王へ向け、冷笑を浮かべた。
(ひっひぃ。ギ、ギルバート殿下が怒ってらっしゃる)
「ギルバート殿下、どうか、どうかお赦しを。」
血の気の引いた顔のトランペット国の王は、頭を下げて僕に詫びた。
勇者ユウキとその一行は僕と国王のやり取りに気がつかないまま、話を進める。
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