371人が本棚に入れています
本棚に追加
女の狂気
★クラウル
暗い世界に、ぽつんと明かりが浮かび上がる。その上に、ゼロスが背を向けて立っていた。
「ゼロス」
思わぬ姿に心の底が揺らぎ、クラウルは走り出した。手を伸ばし、光の中で黙っているゼロスの腕を掴む。
その瞬間、ズルリと腕が落ちた。
「!」
『クラウル様、申し訳ありません』
そう呟いて振り向いたゼロスの額から、顔を染めるほどの血が流れ出ていた。
『すみません』
「ゼロス待て!」
腕を伸ばし胸に納めた体がズルリと落ちる。その腕の中で、ゼロスの体は重たくなっていった。
最初のコメントを投稿しよう!