5.違法者 後編

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脂汗をかきながら見上げた先にあったのは、大きな鎌と。 死神さながらの黒いボロボロのローブを身にまとった、あの日の少年だった。 こいつがシマだ。 瞬時に理解した。 こいつが、あたしを蹴り飛ばしたこと。 ぶわっと、毛穴の開くような感覚があって。 あの日の。 奪われた記憶が洪水のように脳内にあふれ出す。 ちかちかするような頭の痛みと体中の痛みのせいで、あたしはパニックに陥るしかなかった。 「あんた……あの、ときの……っ」 「ああ、もう思い出しちゃった?お前意外と勘がいいんだね」 「………っ」 「しかも、運よく助けられて死なないしさ……イライラするよ」 そうだ。 あたし、あの日この少年に殺されると思った。 逃げようとしても引きずり倒されて、そして。 死ぬように、暗示をかけられた。 なぜ目をつけられたかなんて分からない。 心当たりがなかった。 「なんで……こんなこと」 「分かんないんでしょ?それに……知る必要もないよ」 有無を言わさない言葉と、目つき。
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