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「一応事務所出るとき連絡してね!」
そう言い置いて、イツキさんは急いで事務所から出て行ってしまった。
がらんとした事務所に残されたのは、あたし一人。
うっわ。
なんかこの感じ久しぶり。
最近は自分の部屋にいる時以外、必ずイツキさんか黒子さんが傍にいた。
それこそノイローゼになりそうなくらい。
突然訪れた解放感に近い感覚になんだかそわそわする。
無駄に席を立って事務所をふらつきたくなる自分を必死に抑えた。
「だめだめ!仕事終わらせないと……」
首を振って目の前のモニターに意識を傾ける。
いつもより広く感じる事務所で一人、また静寂に包まれていった。
結局仕事が終わったのは十七時四十五分。
定時を十五分もオーバーしてのことだった。
「くっそ……」
自分に負けた気がして、思わず汚い言葉が口をついて出た。
目標としていた時間より遅くなるとなんだか悔しいのだ。
内勤で事務職やってると、そんな些細なことを達成感にしないと楽しくないからね。
楽しく仕事をするためにやっていた自分ルールが首を絞めたことは、スルーした。
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