5.違法者 後編

25/32
前へ
/147ページ
次へ
まあ、明日イツキさんがこのクリアファイルと資料を持っていくだけの状態にしてこの時間なら上々だろうと結論付けた。 パソコンの電源を落として、鞄を準備。 紅茶を飲んでいたマグカップを片付けて、事務所の戸締りを確認。 いつもは最後まで仕事をしている人(ほぼイツキさん)がやる作業をこなしていく。 「上と、下。それからセキュリティ……」 暗くなった室内を出て、事務所の鍵をかける。 普段あたしは使うことのないセキュリティキーを使うから、いつもより慎重になった。 お客さんの資料やデータ、個人情報が事務所にはある。 何かあったら大変だもの。 ロックがかかったことを確認して、ようやくあたしは事務所をあとにすることができた。 「さて!じゃあ行きますか!」 逸る気持ちが抑えられない。 だって、こんなの久しぶりなんだもん。 一人で外を出歩くのも、大好きな焼き肉を食べに行くのも! あたしとイツキさん、それから黒子さんはそれなりに仲良くやっているとは思う。 二人があたしに気を使ってくれているおかげだけれど。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

194人が本棚に入れています
本棚に追加