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でも、やっぱりあたしだって女子だ。
男性とずっといると疲れるときもある。
こういう時間って本当に大事だなとしみじみと思った。
それに、この環境を我慢した甲斐があるというもの。
そのおかげで今この時も焼き肉があたしを待っているのだから。
にこにことしながら大通りに出てタクシーを拾おうとしていたせいかな。
気がつかなかった。
真後ろにあったはずの、人の気配に。
「……っ!」
声が出なかった。
何が起きたのかも、分からない。
気がついたときにはあたしの視界は反転していて。
ほとんど日が暮れた群青の色の空の色が見えた。
脇腹がめちゃくちゃに痛い。
いや、それだけじゃない、あちこちが痛い!
無様に地面に倒れこんでいるんだと理解したのは、結構遅かったと思う。
「い……った!」
顔を歪めて腹を押さえた。
何、これ。
何なの?
その疑問に答えるかのような声が、あたしの頭上に降り注いだ。
死神の声が。
「っふふ」
「………」
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